書評◆幸福の「資本」論

日々徒然
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こんにちは♩

 

今日は読んだ本の中で強烈な印象だったものを紹介します。

 

 

なかなか中身の詰まった本で文字にするのは難しいのですが、備忘録として書いてみます。

 

タイトルは『幸福の「資本」論』で、著者は橘玲さんです。

 

 

人生を幸せにする3つの要素

 

幸福は人それぞれですが、幸福な人生を設計するために、幸福の条件として次の3つのが挙げられています。

 

❶自由

❷自己実現

❸共同体=絆

 

上記3つに対応する土台が

 

❶→①金融資産=不動産を含む財産

❷→②人的資本=働いてお金を稼ぐ能力

❸→③社会資本=家族や友達おネットワーク

 

で、これらを運用することで”富”を得ます。

 

 

この3つの土台をどう持つかで「リア充」「プア充」「貧困」などに分類されます。(他にもありますが、割愛。あくまで例えなので・・・)

 

世間で言うリア充とは、良い会社に勤めていてお給料が高く、友達や恋人がいたりしてリアルが充実している人たちのことで、3つのインフラの中の②人的資本と③社会資本の2つを持っていると言えます。

 

プア充は地方のマイルドヤンキーが例に挙げられていて、①金融資産や②人的資本も少ないが、③社会資本=地元の同級生からなるイツメンという人的ネットワークを持ち、金銭的に豊かではないけれど、充実した日々を送っています。

 

貧困とは、稼ぎ口もなく、さまざまな要因から福祉のセーフティネットや地元のネットワークからも排除されてしまった、3つのインフラの中でひとつも持たない状態のこと。

 

プア充貧困を分つものは「③社会資本」です。

 

3つの資本の合計が一定値を超えていれば人は自分を「貧困」とは意識しません。

 

 

資本をひとつしか持っていないと、ちょっとしたきっかけで貧困や孤独に陥るリスクが高くなります。(プア充がイツメンと仲たがいをし、人的ネットワーク=③社会資本を失った場合など。)

 

 

仕事の種類

 

アメリカ人のリベラル派の経済学者ロバート・ライシュは21世紀のアメリカ人仕事はクリエイティブクラスマックジョブに二極化すると予言しました。

 

クリエイティブクラスはさらにスペシャリストとクリエイターに分けることができます。

・クリエイティブクラス

 →スペシャリスト=弁護士や医者など

 →クリエイター=映画産業やプログラム関係など(マイクロソフトとか)

 

・マックジョブバックオフィス 事務職や製造業がここに当てはまる(マニュアル化された仕事)

 

 

上記2つに当てはまらない、日本のサラリーマン

 

この不思議なサラリーマンという仕事をさらに見ていきます。

 

 

仕事の形態 ジョブ型orメンバーシップ型?

 

最近「日本型雇用の限界」があちこちで言われていますね。

 

日本の雇用はメンバーシップ型です。では対して、ジョブ型とは?

 

 

・ジョブ型

職務(ジョブ)を基準に仕事が成り立っている組織のこと。仕事に必要な能力を持っている人なら誰でも代替可能になっている。職務間の移動は原則なし。(営業が人手不足になっても総務から人を充てる…なんてことはなく、営業ができる人を新たに採用する。)

 

 

・メンバーシップ型

メンバーを中心に仕事が成立している”会員制”組織のこと。正会員(正社員)と非会員(非正規社員)の身分が厳密に定められ、正社員には組織の仲間と和を保ちながらあらゆる職務に対応できる能力が求められる。

 

 

年功序列・終身雇用を採用してきた日本社会では、転職が不利であったりリスクが大きくなってしまうことから、誰も会社を辞めたがらなくなります。

 

そのため日本の会社は「閉鎖空間」と言え、その中で仕事や人間関係につまづくと、たちまち大きなストレスを抱えてしまいます。

 

さまざまな職務に異動するので専門性が育ちにくく、閉鎖空間なので組織内での悪評を避けようと消極的な心理状態になるのです。

 

 

では、専門性を持たないサラリーマンはどうしていけば良いのか。

 

それは・・・

 

 

好きなことに人的資本のすべてを投入する

 

「好きなことが得意なこと」になり、それ以外のことは「やってもできない」のです。

 

その上で「自分だけのニッチを見つけること」と「組織と取引すること」。

 

①好きなことに人的資本のすべてを投入する

②好きなことをマネタイズできるニッチを見つける

③官僚化した組織との取引から収益を獲得する

 

 

人生のどこかの時点で組織の外に出て、知識や技術、コンテンツのちからで大組織と取引する「フリーエージェント」化が、高度化する知識社会の基本戦略になります。

 

誰もが定年という強制解雇によって会社を追い出される運命だからです。

 

 

「老後問題」とは老後が長すぎること

 

老後とは「人的資本をすべて失った状態」です。

 

老後の経済的な不安を解消する最も簡単な方法は、老後を短くすること。

 

人的資本を長く維持(長く稼ぐ)ために好きを仕事にすることが唯一の選択肢です。

 

 

フリーエージェント戦略

 

組織を捨てることのデメリットは生活が不安定になることで、メリットは人間関係を選択できることです。

 

私たち凡人にとっての幸福な人生の最適なポートフォリオはどのようになるか?

 

強いつながりを恋人や家族に最小化して、友情を含めそれ以外の関係は全て貨幣空間に置き換えること。

 

 

年齢に関わらず弱いつながりを維持しつつ、フリーエージェントとしてプロジェクト型の仕事をする、生涯現役戦略をとること。

 

 

全体のまとめ

 

①金融資産は分散投資する

②人的資本は集中投資する

③社会資本は小さな愛情空間と大きな貨幣空間に分散する

 

 

所感

 

この書籍には、どうやって金融資産を増やすかとか、どうやって稼ぐかとか、どう人間関係を築くかなどのHow toは書かれていません。

 

でも、いろんな研究結果を引用しながら、かなり理知的に日本社会の謎や閉塞感を解き明かしているなと思ったので、紹介してみました。

 

ただのまとめになっちゃいましたし、拾いきれていないところもたくさんあります。

 

伝わりきっていないかもですが、本当に本当に面白い本なのでぜひ読んでみてください。

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幸福の「資本」論――あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」

 

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【新品】幸福の「資本」論 あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」 ダイヤモンド社 橘玲/著

 

 

橘玲さんの他にもたくさん書籍があって、金融リテラシーを上げるのにもうってつけです。

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に、この本の冒頭の言葉を引用して終わります。

 

「いまの時代の日本に生まれたということが最大の幸運である」

 

 

ではまた!

 

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